4月でも寒いぞ、雪だぞ、高野山
               
2009.4.1−3
          金剛峯寺
                                
金はないが時間はある。
青春18切符が使えるこの時期、「お経を心安らかに聞きたいなあ」と鈍行列車に揺られ高野山へ。

旅に出たのは4月1日。
社会人も学生も世間様も何かと切り替えの時期で気ぜわしい新年度の始まりだ。
そんな中、私は鈍行でのんびり西へ向かったのでありました。

列車に乗っているだけでどらまちっく 
 青春18切符の旅は時間との勝負だったりする。
 朝4時47分、東小金井駅出発。
 高野山駅の到着は午後5時23分の予定だ。
 今日の終着駅の高野山まで何回乗り換えなければならないのだろう?
 しかも、乗り換え時間は10分から15分くらい。
 ひとつ電車が遅れ、乗り遅れたらもう到着時間は一時間くらい違ってしまう。
 
 そんな旅だというのに、朝中央線に乗ったとたん、電車の中で乗客がバンと倒れる。
 みごとに倒れる。
 きゃ〜。
 そして、頭をよぎるのは「電車が遅れちまう。次の電車に乗り遅れたらどうしよう?」
 そんな自分勝手なことばかり考えているのに、
 大声で駅員を呼ぶ人、
 ちっとも来ないので駅員を呼びにいく人、  
 電車のドアが閉まらないように体を張って立っている人、
 倒れた人に呼びかける人、
 倒れた人の脈を取る人。
 周りの客はよく動く。
 みんな、いい人だあ。りっぱだあ。
 
 駅員が来て、客と一緒に病人を電車からホームにおろす。
 駅員と病人を残し電車は発車。
 3分ほど遅れて発車。
 
 こんな非常事態に人間性って表れるんだ。
 自分のことしか考えられない私って、いったい。
 のっけからどらまちっくな列車の旅だ。
 次の乗り換えの東京駅には定時に着き、無事東海道線に乗り換える。

 静岡あたりに着いたのは朝の9時過ぎか。
 いかにもフレッシュマンの格好をした女の子たちが降りて行った。
 4月1日。
 社会人デビューだね。

 そんなめでたい日だというのに、関西方面では人身事故があった模様。
 自殺かあ。
 こんな日にしなくても・・・。
 こんな日だからしたのかな?
 切ない。
 
 電車の中ではほとんど寝ていた。
 時々起きて、窓の外を見ると桜やら菜の花やら春の風景だ。
 
 南海電鉄の高野線に乗り換えると、客層はいかにも高野山への観光客になる。
 外国人も多い。

 終点極楽橋からケーブルカーに乗り換える。
 その急斜面に外国人もエキサイティング!
 
 思わず、下を見たくなる。

 
 振り返って進行方向を見れば、この傾斜ですもの。
 ケーブルカーが高野山駅に着くと、路線バスが待っている。
 バスに乗ると雪がちらつきだした。
 降りだした雪に「お〜!く〜る」と外国人の旅人は驚く。
 まったく、エイプリルフールは何が起こるかわからない。
 バスを降りて、本日の宿ユースホステルに着いたのは午後6時くらい。
 長い旅だった。

 荷物をおいて、夕飯を食べに行く。
 観光客向けの精進料理の店はもう閉まっている。
 夜、やっているのは地元の人のための食堂だ。
 中華料理屋に入ったら、店の人が「ライトアップしている寺があるから行っておいで」と教えてくれた。
 

 寒くて暗くて誰もいない。
 と、思ったら外人のナイスガイが歩いてくる。
 日本語が上手だ。
 「ガイドでもやっているの?」と尋ねたら
 「大学へ通っている」と彼。
 写真を撮ってくれた。
 そしてすぐに去って行った。
 もう一度言うぞ。ナイスガイでした。
 
 

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