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南アルプスは暑かった 
 

        Aあの甲斐駒ケ岳に登る
                    
2006.8.4〜6

いつも中央線の車窓から見ていた甲斐駒ケ岳。無骨だがどっしりしていて男っぽい。
いつかはあのてっぺんに登りたいと思っていた。いよいよ登るよ。

8月6日(日)

朝早くから出発だ

今日の山行は7時間の予定だ。12時55分のバスに乗るには12時までには帰ってきて、昼食をとりテントを撤収しなければならない。

昨日仙丈から降りてきて、昼間寝て夜も早くから(午後7時頃)寝て何度か目が覚めて、結局起きたのは3時過ぎ。

昨日登山中、お腹がすいて怖い思いをしたので、朝はツナサンドとスープをガシガシと食べる。
4時前に出発だ。まだ暗い。暗い山道を一人で歩くのは怖い。

3人のパーティが登山道に消えていった。ヘッドランプの明かりが揺れている。
彼らについていけば、大丈夫かとあわてて出発するが、すぐに明かりを見失い
結局うさぎは一人で、不安をかかえ夜道を歩く。

川べりの道を歩き、橋を渡り、出発してから40分。
仙水小屋に着いた。




南アルプスの天然水。流しっぱなしの水場。
水筒の水は減っていないが、
少し飲んで補充する。


山小屋から人の気配がする。
ここにもテント場があり、人が水を汲みに来た。
人に会い、暗い道一人で歩いてきた緊張がほぐれる。


夜は少しずつ明けてきている。
テント場のわき道を進むと突然、ゴツゴツとした岩山が現れる。その脇をとおり、仙水峠へ。
5時15分着。

もう少し早ければ、ご来光に間に合ったようで。
そこでくつろいでいた人たちは、「ご来光に間に合って良かった」と話しているのが悔しい。

それからの樹林帯の上りはきつかった。
ひたすら急登が続く。
でもまだ登りはじめで疲れてはいないし、人に会って安心するし、夜が明けてがぜん元気になる。
仙水峠でお菓子をしっかり食べたし。

途中、背の低いハイマツ帯になり山々の景色が見られる休憩ポイントが何度もでてくる。
着くたびに休みたくなる。
でも、元気なうちに高度を稼いでおかないと。
ゆっくりゆっくり登っているかなり年配の団体は何時に出てきたのだろう?



6時30分。
駒津峰に到着。
地図ではあと1時間30分。

あと少しだなと思っていたがここからが大変だった。

途中から岩稜直登コースと初心者向けの巻き道にコースに分かれる。
うさぎは巻き道を選んだが、のっけから下り坂で損した気分。
そして最後に出てくる砂の道。

そろそろ疲れが出てきているのに一足ごと、足が砂に埋まる。
しかも砂道は踏み跡がよくわからず、何度もコースアウトしては迷う。だいぶ無駄に歩いている感じがしてますます気分的にエネルギーを消耗していく。


頂上の方向はわかるので、そちらのほうに登っていくと時々本来のコースに戻る。
そんなことをしながら7時50分、頂上へ。

直登コースを登ってきた若者はもう、すわってお菓子を食べている。
むむむ、そっちのほうが楽だったのか。

頂上には神様がいた。

今日もよく晴れ眺めが良いが、富士山の方向から雲がわいていて富士は見えず。
山の天気は変わりやすい。

さて、下ろうとするが砂の道には登る人がいっぱい。
これで、迷わずにすむが登り優先の山道では待つことが多い。ただでさえ、下り道は苦手で時間がかかるのに10人以上の団体を何度も待って、だいぶ時間がかかってしまった。

駒津峰まで戻ったら、もと来た道を通らず、双児山ルートで北沢峠に向かう。
下りといえども、双児山を越えるのでちょっと登る。
それがいや。


双児山で、半ズボンになる。やはり高度が下がると暑くなる。
双児山からの下りはひたすら長かった。
登ってくる人もいない。

ずっと森の中のジグザグ道を下る。迷うはずもないのにあまりにも着かないので不安になってくる。
だから、「北沢峠へ」という看板を見つけたときほっとした。間違っていない!
11時半頃北沢峠にたどりつく。
それからキャンプ場へ。

テントのフライのジッパーをあけたら、コーヒー、羊羹、スープ、ところてんなどの食料がビニール袋にはいっておいてあった。隣にテントを張っていたご夫婦からのプレゼントだ。

嬉しいのだけどね。うさぎ、もう帰るのよ。
だから荷物を軽くしようと思って、昨日からせっせと食べていたのに。


動揺している暇なし。
さっさとラーメンを作って食べて、撤収だ。
なんとかバスに間に合うように荷物をまとめて背負うが、来たときよりも重くなっているような〜。
もらったところてんにコナキジジイの精霊が憑いているに違いない。

北沢峠からバスに乗って、広河原で甲府行きのバスに乗り換える。
甲府には3時半頃、着。

行の後は温泉ビールが楽しみなので、甲府駅から歩いて10分の日帰り温泉に浸かろうと計画していたが、バスを降り立ったとたん予定変更。すぐに電車で帰ることにした。
とにかく甲府は暑かったのだよ。これでは温泉に入ったところですぐに汗まみれ。
ちょっと臭くてみなさんにご迷惑だけど、そのまま電車に乗って家に帰り、シャワーで汗を流してほっとしました。ふ〜。


おまけ
うさぎが一人で山を歩いていると、「一人?」「若いのに一人で登ってえらいね」などと声をかけられる。
山にいる60、70歳のお達者クラブの皆さんから見たら、30も40も同じく若いのかもね。うさぎが通り過ぎた後ろで「大丈夫か?」「涸沢ヒュッテのザック背負っているから、経験はあるんじゃないか?」などと話しているのを聞いたことがある。ご心配ありがとう。

うさぎはベテランではない。しかも一人。だからうさぎは無理はしない。
山行の前は地図やガイドブックでルートの研究するし
体調が悪くなったらいっぱい休むし、引き返すし。
天気が悪いときは登らないし。
夜行移動ですぐ登山など、よほど甘いルートじゃないとしないし。
死なないように気をつけている。

うさぎが心配なのは団体のおば様たちだよ。

なんであんなにいっぱいお菓子を持ってるの?化粧品も持ってるし。重くない?
ふーふー死にそうなのに登ってる。
途中でバテても団体だと言い出しにくいのではないのかな?
もっと休みたいとか、ここでリタイアとか。

そんな息絶え絶えのおば様たちに今回会いました。
あまり無理はしないでね。
うさぎの心配は良いからさ。



「山に登るんだ。すごいね。」なんて言われる。山に入ればいっぱい人が登っているから、別にすごいこととは思わない。
でも、甲斐駒ケ岳を車窓からみるとやっぱりあそこに登ったのは嬉しいし、すごいじゃんって自分で思う。
どっちなんだい!

一人で登るうさぎだが、人に会わない山は怖い。
都会で7時間なんて歩き続けられない。
だから山歩きをするときは山や空や花や土などの神様がいて、きっとうさぎを守ってくれているに違いない。

だから山に登れるのはそういうものの、後押しと山で会った人のおかげ。
すごいことなのだけど、うさぎはそんなにすごい奴ではないのだよ。
そんな山にまた登りに行きたいな。

なにか大きなものにゆだねて、自分の力を引き出してもらう。
そんな山登りのような経験が日常でできたら、何でもできそうな気がするよ。
そんな魔法の使い方。できるようになりたいな。


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