裁判傍聴記…雑誌「週刊現代」の記者として東京地裁で公判中の「刑事」裁判を傍聴し記事を書く。 |
静岡県焼津市上空で2001年1月、日本航空907便と同958便がニアミスし、907便の乗員・乗客57人が重軽傷を負った事故で業務上過失傷害罪に問われていた管制官蜂谷秀樹(31)、籾井康子(37)両被告の公判が1月25日、東京地裁で開かれた。
まず、午前10時から行われた検察側の論告求刑では「ニアミスしたのは訓練中の蜂谷管制官が958便と間違えて907便に降下指示を出したためである」と主張。くわえて「その間違えに気づかず訂正しなかった、指導担当者籾井管制官の責任も重大」とし、蜂谷被告に禁固一年、籾井被告に禁固1年6ヶ月を求刑した。
午後から行われた弁護人による最終弁論では蜂谷管制官の言い間違いを認めながらも
@ 907便を降下させても両航空機の間隔は充分保たれ危険は生じなかった。
A ニアミスはTCAS(衝突防止装置)が作動し、その指示により958便も降下したためである。
しかもTCASの指示は管制官には知らされるシステムではなく、958便の動きは予測できなかった。
BTCAS の「上昇せよ」という指示に反して907便が降下したのは管制官の指示に従ったからではない。「高高度で急上昇すれば失速する恐れがあった」という機長の判断である。
などと無罪を主張した。
最終陳述では両被告ともTCASの運用上不備があったことなどを訴え「事故は予測できず責任はない」と主張した。
あまりにも原因が複雑にからまっている事故であり管制官の言い間違いだけを取り上げて判決を下すことはむずかしいであろう。負傷や恐怖を味わった乗員・乗客のことを考えれば、この事故にかかわっている人間として「責任はない」ではすまされないが、罪を二人だけに負わせて問題解決にならないことを願う。両被告の能面のような表情が印象的であった。
判決は3月20日下される。
[付記]
傍聴日時 2006年1月25日 午前10時〜午前11時45分 午後1時15分〜午後4時
104号法廷
裁判長:安井久治 裁判官:平木正洋、原大輔
講師の添削により「弁護人による」を付け加えた。。
後半の緑の部分はいらないと言われた。
このような感想は事実を書くことで、表現するようにと。むずかしい。
裁判傍聴ははじめてだった。
まず、被告人を見るのが初めてで「ずっと長い間被告人でいる人生ってきついだろうなあ」とそのことが一番ドキドキした。
3月20日、また傍聴しに行きたい。
管制官側、無罪を訴え結審 判決は3月20日 |