怠けていてはいけません


「怠けるということ  
昼間からソファでゴロゴロしているのや、机の前のボーッとしているのは、ゴロゴロしているとかボーッとしているのですから、とくに怠けているわけではありません。たとえば、春→桜→花見、としか考えないようなこと、TVで話題のラーメン屋にならぶこと、まじめに学校に通うこと、上司に言われたことをそのままやること、折り合いをつけて結婚すること、などを怠けるといいます。」(「そういうことなんだ。」五味太郎著・青春出版社)

私が公務員で児童館・学童クラブに勤めていたとき、確かに怠けていた。仕事は怠けられるものではなかったが。たとえば、こどもは日々いろんなトラブルを起こしてくれるし、「子ども命」の親は切なくいろいろ訴えてくるし、「子どもの声がうるさいのよね」なんていうご近所の苦情に対応しなければいけなかったし、「今年の予算も削減ね、年間計画どうしよう」なんて職員会議で話さなくちゃならなかったし・・・などなど。疲れた。

それでも怠けていると感じたのは、「このまま公務員でいれば一生お金には困らないで生きていける。だから一人でいても親には心配かけずにすむ。収入と身分が安定しているから、部屋も借りられる、好きなこともできる」からだ。そんなおいしい身分なので、居心地が悪いとか、「ちょっと私の人生この仕事をしていて良いのか」なんて感じたときもそんな思いにふたをしてきた。

人間関係に疲れ、体を壊したのはきっかけに過ぎない。仕事をしていて「何か違うな」という思いが大きくなって辞める現実を連れてきたのだろう。

辞めたからにはこれから、どう生きていくか考えなければならない。次にやることはそう簡単には見つからない。自分ができることと、やりたいことと、仕事とはどうにもリンクしないのだ。

それでうんうんと悩み、あせりながらも、働かない状態が続いた。本を読んだり旅をしたり勉強をしに行ったり、自分としてはけっこうフル回転だ。で、そんなふうに人生迷うことが苦しくなると、バイトをする。バイトをしていれば、日々なんとなく時間は過ぎていく。

だからバイト中の今は、自分では怠けていると感じている。「あら、ずっと遊んでいたのにやっと働く気になったのね」なんてほっとした顔で言われると「違うの、今はとても怠けているの」なんて答えている。怠けていてはいけません。日々、流されていかぬよう、いつも心に留めておこう。

                        同人誌VELO12掲載

home ● プロフィール ● 旅日記 ● うさぎコレクション ● 私の絵 ● 雑記帳 ● 掲示板・うさぎくらぶ