タイ式マッサージ出稼ぎ物語

都熙子通信 18号
2004.12.2〜2005.1.17

 京都の北部、小天橋温泉の旅館「みなと荘」が経営するタイ式マッサージ派遣のお店で働いた。このご主人と知り合ったのはタイの学校。サムンプライというタイハーブの講座で一緒だったが包丁使いがとても上手。そしたらなんと旅館の板前さんであり主人であった!出会いってすばらしい。

小天橋ってこんなところ
 小天橋はとても遠い。京都の旅館とふれまわったが、京都駅から特急を乗り継いで2時間以上かかって豊岡までたどりつき、そこから車で30分以上走りやっと着いた。OH!NO!★はキラキラと美しく海と山があり、夜は真っ暗など田舎であった。田舎大好き!でもなにもない。共同生活していたアパートから一番近くの店が歩いて30分ほどの生協。しかもちょと高めの田舎値段。ここは与那国(沖縄の日本最西端の島)か!生活はとても不便であった。
 でも、アパートの窓からは海と山が見える。美しい。一番感動したのは月の光に輝く海。ロマンティック


久美浜名産「たいせんべい」荒れる波に踊る鯛!なかなかのデザインだと思います。

生き物ばんざい
 よく見たのはたぬき。たぬきの後ろ姿、特におしりのあたりはもさっとしてラブリー。てんは小さくてかわいい。りっぱな角がはえた鹿はカッコ良い。散歩していると脇を走るいのしし。ど迫力で恐いが柵があるから大丈夫。車に轢かれたたぬきを食べるトンビ。そんな動物たちと共に暮らしておりました。

                        なんとも綺麗な落ち葉たち。
どーんと唸る日本海
 久美浜湾の中は静かだが湾の外は荒荒しい日本海。サーフィンなどやっているがとても寒そう。

この日は天気が良く、ちょっとは明るい日本海

私のお楽しみ散歩
 
共同生活にはプライベートはないよ。だから散歩で一人になるのがほっとする。ほとんど雨や雪の天気だけどそれでも外にでる。天気の変化は激しくて曇りになったり晴れたりするときもあるから。アパートから30分くらい歩くと小天橋の旅館街。生協でおやつを買って唸る日本海をながめ1時間コース。久美浜駅までは1時間。久美浜駅の近くでパンを買って駅の待合室で食べたり、喫茶店によったりお店をみたりで2時間半コース。歩く道は山と海がひろがり気持ち良い。


久美浜までの散歩道は人家がない山道。ここがきっと通学路。
こんな所で大声出しても誰にも聞こえないと思う(T_T)

お仕事 
 旅館や民宿から予約の電話があると、マネージャーに車に乗せてもらって旅館へ行き、お客さんの部屋でマッサージをする。全身50分5,000円。棒を使ったフットマッサージは30分3,000円。受け付けは午後3時から午後11時。仕事は4時くらいからはいったりもするが、だいたい8時か9時からはいる。終わるのは夜12時から2時くらい。それから夜食を食べたり温泉にはいりに行く。忙しい時は寝るのが3時、4時ごろになり続くと辛かった。土曜日や年末年始は一日5人くらい。でも、平日で暇だと1人だったりする。12月4日から1月16日までで働いたのは43日間。全身、フットを合わせて133人のお客様に出会えた。ありがたいことです。
 半そでのポロシャツと薄いタイパンツで仕事をするが旅館の部屋は暖かいし肉体労働なので汗をかくほど暑くなる。「半そでで寒くない?」と心配してくれたお客さんもいたけど大丈夫です。暑いです。


小天橋の寺には水仙がいっぱい咲いていました。

学校と違う
 学校とお仕事は違う。たとえば仕事は時間通りにおさめなくてはいけない。学校では時間制限はなかったからね。それからいろんな人がいる。酔っている人、爆睡しちゃう人、体が堅いご年配の方、こっていて体ががちがちの人で私の指が壊れちゃいそうな人、ああ、こんな人たちは学校で会わなかったよ。「堅かったでしょ、大変だったね。」って優しい声をかけてくれたおじちゃん、いえいえこちらこそ力不足ですみません(T_T)マッサージをうけているお母さんになだれかかってくるお子様、タイ式マッサージってはじめてとじっと見つめる同室の方たち。それからいろんなところでマッサージを受けていて、いっぱい知識があって、あれこれ聞いてくるお客さん。おもわず、タイ人になりすまして、「すみません、日本語よくわかりません。」って言いたくなった。もっと勉強しなくちゃね(>_<)先生、現場って思いもよらないことがいっぱいあってエキサイティングでしたよ。

グルメ
 
タイ人のおにいさん、おねえさんたちがタイ料理を作ってくれる。かなり辛いがおいしい。唐辛子とにんにくをいっぱい使う。うーん、にんにく臭かったと思う。マネージャーさんは元フランス料理人。オムライス、グラタンなど作ってくれた。マネージャーさんが母の作ったおせち、酢の物、肉じゃがを持ってきてくれる。日本の味でほっとする。それから、旅館のご主人から、刺身、寿司のさしいれ。幸せ。さば寿司、おいしいです。カニもおいしいです。


「こんな田舎なんて知らなかったよぉ」(T_T) つい、遠い目をしてしまう。
しば漬けは一緒にきためぐと私をほっと慰めてくれる味でありました。

悲しい親指
 
いっぱい働いて親指がどーんと腫れて痛くなった。湿布をよく貼っていたよ。くま先生の話では親指が大きくなり職人の指になるそうな。かわいくないが、かっこいい。

 


 休みなしの43日間。濃い日々でありました。旅館で迷子になったり、お客さんにはいてもらったタイパンツを忘れてきたり、部屋を出ようと思ってあけたドアがバスルームだったり、果てしなく慣れない新人で書けないエピソードがいっぱい。そんな私と一緒に働いてくれたみなさん、旅館、ホテルのスタッフの方々、お金をいただいた上、いっぱいいろいろなことを教えてくれたお客さん、ほんとうにありがとうございました。それから、ヘロへロに疲れた体をみなと荘の温泉はやさしく癒してくれました。温泉、やっぱり好きだあ。

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