地球の鼓動を感じる島


                               2007.1.1〜4  
 
 泣き疲れていても、大掃除が終わっていなくても、寒くても大島に行くのだ。出発は元旦の夜。出発まで掃除やらパッキングで忙しかった。そんな元旦を過ごしたうさぎは、1月2日に大島に着き温泉に入って体を伸ばし、やっとほっとするのでした。

20007年1月1日旅立ち
 テントを担いでよろよろと出発。キャンプ道具やら食料がはいったザックは死ぬほど重い。午後10時発の神津島行きフェリー。今回も去年の神津行きと同じように、2等和室の席を取る。自分の場所を見つけてキャンプ用マットと寝袋を広げる。
 そんなことをしていたら「よろしくお願いします」と隣にやってきたのが、やはり大きなザックを担いだ青年。すぐにどかへ行ってしまったと思ったら、ビアとおつまみを手に帰ってきた。「せっかくだから飲みましょう」と。うん、いい奴だ。これだからフレンドリーなキャンパーが好きなのさ。やはり、うさぎがかわいいからだと思うの♪
 さて、彼は今から神津島でキャンプしに行くところだと言う。うさぎは去年の10月に行ったばかりだよ。そして彼は去年の正月に大島に行ったと言う。
 それで早速旅情報交換。えっ、去年の大島は正月に雪が降っただと!大丈夫かな。うさぎは南国以外の冬テントは初めてだよ。
 
 そんなふうに話しているうちにあっという間に消灯の11時半。おやすみなさい。寝袋に包まるとちょっと暑い。4時くらいに目が覚めてしまった。けっこう、船が揺れている。

1月2日 椿咲くキャンプ地
 5時半に灯りがつく。
 6時頃大島に着くというアナウンスがあり、急いで出してあったものをパッキングする。ガムテープで修理した寝袋や傷だらけのうさぎのザックを彼は羨ましがってくれる。それだけいっぱい思い出がつまっているのを彼はわかってくれている。キャンパーが見ると良くても、一般人からみればただのボロだけど。

 6時に大島着。まだ暗い。昨日のビアのお礼にうさぎご飯(玄米とお豆を混ぜて炊いたもの)で作ったおにぎりと韓国のりを彼にプレゼントして、握手して別れる。別れ際、ザックを背負ったうさぎを見て彼は言った。「かっこいい!」あのさ、「かわいい」と言ってくださいよ。女の子ですので。デッキまででて、見送ってくれた。何度も振り返って手を振る。ありがとう。いい旅、しようね。

 さて、岡田港に着いたので元町港まで移動しなければ。船のターミナル付近で「バスが出ています」という案内がエンドレスで港に流れていた。船の時間に合わせてバスが出るようだ。
 バスに乗り込むといつのまにか空が蒼くなってる。元町まで350円。すぐに着いた。
 バスから降りて地図をひろげる。降りたバス停から20分ほどか。坂道を上り今回のキャンプ地「ホテル椿園」に到着。
 キャンプ場の利用料は1泊500円。設備も眺めも無料の神津島の沢尻湾キャンプ場に負けている。ただ、ホテル内の敷地なのでちょっと安心だ。今回もキャンプ場一人テント。ああ。
 テントサイトは芝生と椿林のふたつ。椿林はちょっと山になっていて坂だし、水はけも悪そうだったけど椿が咲いていたことと水場に近いのでこちらにテントを張る。
 カラスとメジロがにぎやかに鳴いている。彼ら糞が落ちてくるのにはまいった。
 
 朝食は昨夜家で作ったおにぎりと竹芝桟橋の近くのコンビニで買ったロールケーキ。それから寒いので生姜を入れたコーンスープとインスタントコーヒーを飲む。チューブ入りの生姜。ちょっと入れると体が温まります。便利です。
 

一人ぼっちの登山道

 さて、登山だ。三原山に登ろう。
  
 嬉しいことにまだ雨は降っていない。758メートルの低い山。軽い気持ちでGパンとハイネックのセーターで歩き出したらけっこう本格的な登山道でまいった。セーターの下に婆シャツしか着ていなかったので汗をかいても脱げないのだ。
 歩くのは私だけ。人には会わない。時々リスが木の上を駆け抜けていく。
  
 一時間ちょっと歩いて、三原山山頂口につく。一般の観光客はここまで車で来て、三原山を散歩するのだなあ。だから登山道には人がいないのだ。
 山頂口には休憩茶屋とかお土産物屋さんが並んでいてすっかり観光地だ。ホッと三原山を眺めて休憩。キャンプ場を出てから一時間半くらい。汗をかいた。ふ〜。
 
 ここからの道はコンクリートで固められている。ほんとうに観光客ルートだ。激励の看板も立てられていていたれりつくせり。
 
頑張ります!
  
いや〜、登山だから。坂でしょ。
  
それはそれは。
 
遠くかすんで見える。伊豆半島やら富士山が。
 山頂に着く。トイレはあるが、水道がない。ウェットティッシュが必要。私は持っていなかったのでお茶で手を洗った。
 火口のまわりは一周できるようにはなっているが、さすがそこまでコンクリートには固めていなくて。ちょっと安心した。火口展望台から噴火口は良く見えるけれど一周まわっていろんな角度から火口をみるのが楽しい。見る場所によってさまざまな表情を見せてくれる。
 こんな感じ↓今だに煙がもくもくとでている。地球の中は熱くて活動しているというのがわかる。
 

 

 

 
 火口の周りを散歩していたらぽつぽつと雨が降ってきた。雨の中、持ってきたアンパンとせんべいを食べる。アンパンの甘さが嬉しい。
 帰りは雨の中、来た道を下る。やはり帰りも人は歩いていないし、心細くなる。雨のせいか、りすも駆け巡っていない。間違わないはずの道だが、登山地図がないだけで不安になる。
 テント場に帰ってきたら、「ここで待っていたんだよ」って言わんばかりにずっとリスが椿の木を駆け巡っていた。
 お酒を買いに町に出る。船でであったキャンパーの言うとおり、お正月でも酒屋は開いていて、地酒とくさやを買った。
 
 冬のキャンプ対策

 雨はまだ降り続いている。今日は椿園の温泉に入ろう。500円。小さいお風呂だが客は私一人。のんびりできた。う〜んぜいたく。
 お風呂からあがって温かいうちにホカロンを貼って厚着をする。そうすればけっこう寒くなく夕飯を作って食べることができた。湯たんぽにお湯を入れて腹に抱きゆっくりとお酒を飲む。雨が降っているが炊事場の軒下にいれば濡れないし。ちょっと困ったのはくさやが思う以上にくさかったこと位だ。
 
 ビアと酒を飲んだら眠くなってしまった。早く眠ったのは良いものの、途中ホカロンと湯たんぽが冷めてしまい寒くて起きてしまったよ。湯たんぽはまたお湯を沸かすのが面倒なので新しいホカロンを二つ貼る。ぬくぬくと暖まったところで再び眠りに着く。
 冬のキャンプは寒くて嫌だ。でも、寒いのをホカロンを貼ったり湯たんぽを抱えたり、マットの上に着ていないセーターを広げたりそうやって工夫して寒さを乗り越えるのは嫌いではないと思った。
 外はずっと雨。雨がテントを打ちつける音がしていた。水はけが悪いのか背中が冷たい。

 1月3日 風に吹かれて椿を描く
 朝、寒いが明るくなったのが嬉しくて早々に起きる。ラーメンを作って食べる。もちろん生姜入り。
 雨はやんでいるが風が強い。時間はまだ7時頃。今町に出てもどこもやっていないと思い、椿のスケッチを始める。風が冷たい。でも、負けないよ。椿もこの寒い中一生懸命咲いているから。
 
 
素朴な神様
 椿をかき終えて冷え切った体を温めようと温泉の準備をして町に出かける。元町港の船のターミナルはありがたいことに暖房が効いていて、そこで顔を洗ったり休憩して落ち着く。ちょっと元気が出てきたので温泉じゃなくて散歩しようと歩いていたら為朝神社を発見。
 
 明治神宮なんていうのも立派でありがたいけど、こんな小さな社に住んでいる神様ってフレンドリーで良いのではないかと。その素朴さとか質素なことがかえって神々しく感じた。
  
 そんな神社の近くにあったのがご神木。触ってみたら温かだった。一目で惚れてスケッチ開始。うさぎは描いている間このご神木と一緒にいられて幸せでした。
 
 
島民の思いを知る伊豆大島火山博物館
 天気はあまり良くなく。室内で過ごそうと火山博物館へ。入館料は500円。うさぎはこういうところを見ても猫に小判状態なのだけどね。で、入ってみたらやっぱりそう。噴火の写真とか火山の説明とか見ても?なのよ。でも、ここでやっている30分ほどの大島を紹介した映画はすごく良かった。放映時間は11時、14時、16時の3回。入館料のほかに200円払わなくてはならないけれど、これは一見の価値あり!
 今だに煙を上げ続けている三原山。そんな危険な山なのに島民は三原山を愛しそこに住む。三原山の静けさを願い踊りが奉納され、三原山の力強さを敬い御神火太鼓がたたかれる。三原山と共に生活してきた大島ならでの文化が生まれ大切にされている。三原山とともに生きる島民の生活や山への思いがよく描かれていた。
 この映画を見て自分の生活環境を振り返ってみる。コンクリートに固められた都会は噴火の脅威はないし便利で快適だ。そのかわり、地球のパワーに触れることはできない。それが人の心や体を弱くしたり狂わせているんではないかと。そんなことを思い、大島の住む島民がうらやましくなった。

やはり大島は椿油
 
大島に行ったらやはり椿油を買わなくては。大島椿油の本店でアトピコ(ローション)とつやつやウォーター(ブロー前に髪につける保湿剤)を買ったら、おまけにシャンプーをくれた。ラッキー♪うさぎがかわいいからだと思うの。
 そこのおじさんに昼食を食べるにはどこがお勧めか訊いてみる。教えてくれたのは「かあちゃん」
 元町港の近く。海沿いの道を左手にすすむとすぐ見える。
 
 お店にはいけすがあって、サザエがいた。
 
 1時頃行ったが、けっこう混んでいる。刺身やクサヤ定食等あったが、思い切り生ものが食べたいと思い、磯丼を注文。1,530円。
 
 おなじみの丼のように、ごはんにネタがへばりついているのではなく。ごはんが器の底にへばりつくようにちょっぴりあって、その上にあふれんばかりの刺身がのっている。う〜ん、豪華。しょうゆを入れる小皿にはわさびのほかに青とうがらしがついてきた。とうがらし醤油はわさびより辛さが冴えていて、おいしい。
 これはご飯と言うよりは、酒の肴だ。当然のように上のさしみがあまる。しみじみと幸せだ。
 力強くこの店を教えてくれたおじさん、ありがとう。

温泉でふやける
 今回の旅の目的は椿のスケッチと三原山登山と温泉♪大島は見所がいっぱいなのだが、うさぎが心から望んでいる温泉へ。料金は1,000円。温泉プールを利用すれば高くないのか。温泉だけしか利用しなかったうさぎはちょっと高く感じた。でも、冷えた体に温泉がしみて幸せだ。うさぎが好きなぬるめのお湯。ちょっと沸かした熱いお湯船も用意されている。露天風呂がないのが少し寂しい。
 温泉から出たら、休憩所でごろんとなる。大広間は残念なことに飲食物は持ちこみ禁止。そのかわり食堂やら売店がある。温泉からでたら昼寝だろと思うのだが、あまりマグロのように寝ている人はいない。離島でもここは東京で、みなさん、お行儀が良いのかな?うさぎはちょっとお酒を飲んで爆睡。やはり畳の上で眠れるって幸せだ。
 ああ、もう外は暗いよ。テント場に帰らなければ。

大きな力に呑み込まれないように
 テント場に着いて夕飯を作り、昨日の残りの酒を飲む。2日目にしてもう最後の晩。寂しいなあ。
 町ではあまり吹いていない風がなぜかこのテント場では吹き荒れる。今夜はずっと風の音がしていた。
 それにしても登山をすれば人がいないし雨が降り、夜は雨や風が吹き荒れる。おまけに三原山はかつて自殺の名所だったときけば、こんな状況で寒さに震えながら一人でキャンプをするのはかなり心細く。ちょっと気を緩めてしまうとあっという間に見えない闇の世界に引きずり込まれてしまいそうな大きな力の気配がする。そんなわけで元彼の訃報を年末に聞き、なにかにつけメソメソと泣いていたうさぎであるが、ここで気弱になったらいっきに魔物のようなものに連れて行かれそうだと思い、泣くのをやめた。気持ちをしっかりもつのだ。悲しいけれどもう泣かない。
 それにここには心やすらぐ温泉やおいしい魚や動物たちの気配など、パワーがあふれている。彼が安心してあの世に旅立てるよう、元気になろう。

1月4日 海を見ながらサイクリング
 朝、鳥の声で起きる。晴れ。青い空にピンク色に雲が染まっている。
 朝食を済ませテントをたたむ。とっちらかた荷物をザックにつめ8時半ころパッキング終了。

 せっかく大島に来たのだからちょっと観光と、自転車を借りる。2時間800円。そこで大きなザックも預かってもらう。観光協会で地図をもらい出発。はじめの目的地はぶらっとハウス。途中、木の看板が立っているが、微妙に方向がずれていて役に立たず。それでも地図を見ながら目的地に到着。
 
 ソフトクリームが食べたかったの。250円。
 
 アイスクリームもあり。明日葉とか塩とか大島特産のものがはいったアイスがあるが、小耳に挟んだ情報だとミルク味がおいしいそうだ。今度食べてみようっと。
 
 並んでいる野菜があまりにも安くておいしそうなので買ってしまった。
 
 大根は小さめで80円だったかな。みずみずしい葉っぱに惚れた。大根とブロッコリー、こんな所で買って、どうやって持っていくんだ?キャンプ用品でザックはいっぱいだと言うのに。(この後、港の近くでさらにサツマイモを購入。何を考えているんだ!自分(-_-;))
 ぶらっとハウスの近くには牧場が。牛を見ていると呑気で癒される。
 
 君のソフトクリーム、おいしかったです。
 行きは椿並木を通ってきたが帰りは海べりの道を帰る。
 まずは野田浜まででる。ここにトイレがあって助かった。
 
 野田浜はダイビングスポットのようで、ウェットスーツを着た団体がこの浜を目指してロボットのように歩いていた。
 
 海べりの道はサイクリングコースになっていて道が整備されている。青い海を眺めながら走るのは気持ちよいけれどアップダウンがきつくて元気な人向け。
 ちょうど2時間のサイクリングを終えて、船のターミナルのところにある足湯に浸かる。
 
 海が一望できる場所にあって気持ちよいのだけどね。日が燦々とあたるのだよ。けっこう暑い。それから温泉に浸かった足は熱い。そんなわけで長くは入っていられない。あの寒いキャンプ場に足湯があったら天国であろうに・・・。

現実の都会へ
 本日の出航は元町港から。船は2時50分出航。船の時間まで近所を散歩して過ごす。
 船のチケットは行きは2等席がとれていたが、帰りは席なしチケットであった。しかし、チケット売り場で発券のさい訊くとなんと、席があるではないか。キャンセルが出たのかな。そんなわけで帰りは無事2等椅子席で爆睡して帰ることができた。
 竹芝桟橋に着き、山手線に乗り家に向かう。1月4日。電車の中は正月と仕事始めがあわさった、なんとも中途半端な風景であった。明日からは仕事だ。また、満員電車でもまれ高層ビルで仕事をする日常が始まる。
 そんな生活ではせっかく大島で充電したパワーは弱まっていってしまうのだろう。そうしたらまた迫力のある地球のエネルギーを体に満たすために大島に行けばいい。地球が生きていることを思い出すためにも。
 


 実は大島にはぜんぜん期待していなかった。伊豆七島で一番東京に近い島。だから、もっと東京っぽく開発されていて、自然のエネルギーなど感じられないと思っていた。だけれど、良い意味で裏切られた。ゆっくり休めたし元気が出た。
 今回は温泉でのんびりが目的だったのであまり観光はしていないけれど、伊豆の踊り子にでてきたという波浮に行ってみたいし、御神火太鼓も聴いてみたい。と、いうわけで好きになりました。大島。また、行きたいです。
 

 旅日記


 

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