そして父は嫌われていく

              

小六の夏祭りの夜、男子四人と私との待ち合わせに、さきちゃんは父と一緒に現れた。父の同伴に私は驚き、彼女はやたらと恐縮していた。でも、すぐに父の存在を忘れてみんなでふざけあい、ハッカパイプや金魚すくいなどの夜店に夢中になっていった。

 はしゃぐ子どもたちと、後から不機嫌にママチャリをひっぱってついてくる父。その見た目の違和感は、「子どもたちの精神年齢と父の心配とのギャップ」そのものを映し出していた。体は大人でも中身は無邪気。男女仲良しだが、一緒にいるのが嬉しかっただけ。父が想像するところの男子と手をつなごうとか、何とかなろうなんてことは頭の隅にこれっぽっちもなかった。

 父の心配は果てしなく広がり、それを理解できない娘。悲しい。今考えても、もっと娘を信用してあげても良かったのではないか。そうでなくては父の身が持たない。さきちゃんには、あと妹が二人もいるのだから。

               同人誌VELO12 vol.2 掲載
                      *テーマは「夏」400字

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